以前、当ブログで紹介した、AI・音声合成技術を活用したアプリ「コエステーション」の事業が、2020年3月16日に東芝デジタルソリューションズ株式会社から、コエステ株式会社に譲渡されました。
コエステ株式会社は、東芝デジタルソリューションズとエイベックスのJV(共同企業体)。
エイベックスといえば、音楽・アーティストなどのイメージが強いですが、ウェブサイトを開くと一目で分かるように「エンタメ×医療」「忍者×AR」など、エンターテイメントと様々なものを掛け合わせた事業を展開しています。
今回は、エンタメとテクノロジーの融合である、コエステに注目します。
「コエステーション」の機能
コエステは、自分の声を使って音声合成を行うことができるサービス。
音声合成とは、”人間の音声を人工的に作る“こと。
2018年にまとめた記事は以下から。
一般ユーザー向けサービス
一般ユーザー向けに、コエを登録(自分のコエを作る)、読み上げ(コエを使って好きな文を読み上げる)、育てる(コエの精度を上げる)機能が提供されています。
また、以下の手順で、他人とコエを貸し借りできます。
- アプリ「マイページ」より、「コエを貸す」
- 右上のボタンをタップ
- 「秘密のパスコードを発行する」ボタンをタップ
- 秘密のパスコードを相手に送る
①
②
③
出典:コエステーション アプリ スクリーンショット
画像の通り、サービスからのリクエストが届くこともあります。自分のコエを利用してもらうチャンスを得られるのも、アプリを使う楽しみの一つですね。
- アプリ「マイページ」より、「コエを借りる」
- 右上の+ボタンをタップ
- 送られてきた秘密のパスワードを入力
①
②
③
出典:コエステーション アプリ スクリーンショット
法人向けサービス
法人向けには、一般人や有名人のコエを事業に活用できるサービスが提供されています。
例えば、カーナビやオーディオブックなどの音声を、歌手のコエに変えたり、ナレーションやキャラクターの音声を、アイドルのコエにしたりすることが可能となります。
当然ですが、歌手やアイドル本人が何度も収録に行く必要はなく、一度コエを作って提供するだけです。あとは仕事をこなさなくてもライセンス料を貰うことができます。
また、アナウンサーの代わりにニュースを読み上げる、といった使い方も考えられます。以前書いた通り、アナウンサーや声優の仕事が取られるのではなく、自分の分身に仕事を任せられる時代が到来したということです。
2020年3月現在では、DJ KOOさん、May J.さん、クロちゃんさん、川島海荷さんなど、30以上の有名人のコエが登録されています。
「コエステーション」の利用料金
個人でのアプリの利用は無料。ただし、商用利用は不可。
法人がコエステを導入する際、ツールの料金+コエの料金がかかります。
コエの価格は、おそらくタレントごとに設定されていて、利用目的によって変動します。
ツールに関しては、以下の通り。
エディター 月額 ¥30,000
参考:coestation 法人向けサービス サービス・料金
人手で、コエを制作・編集するエディター。
アプリでは、読み上げた音声をFacebookやTwitterでシェアすることはできますが、ダウンロードはできません。エディターを使うと、”mp3やwavなどの音声ファイルとしてダウンロード”できます。
Web API 月額 ¥50,000
参考:coestation 法人向けサービス サービス・料金
コエとセリフを指定し、リアルタイムで音声を生成するWeb API。
リアルタイムというのは、ボイスチェンジャーのような機能ではなく、”このセリフを読み上げて”というリクエストがあったとき、1秒以内に音声データを生成し、結果を返すこと。
一定の利用数を超えると、追加料金が発生します。
「コエステーション」の将来性
芸能人や有名人が身近に
今後、多数の企業やサービスがコエを利用すると予想します。
接客にコエステが導入されると、「期間限定で広瀬すずがドライブスルーに登場」や「浜辺美波が宝くじ売り場で福を呼ぶ」のようなキャンペーンが実施されたり、「店内放送が松本まりか」や「ATMの音声案内が橋本環奈」と、贅沢に使われたりするかもしれません。
他言語に対応
英語や中国語などのコエを作ることも技術的に可能ですが、現時点では、コエを作る際に、英語の文章は英語の発音で読み、中国語の文章は中国語の発音で読まなければいけません。
そこで、コエを提供する人が日本語しか話せなくても、一つの言語で、他言語に対応したコエを作る技術の開発を進めているようです。これが実現されると利便性が格段に高くなりますね。
具体例を上げると、出演者自身のコエで映画の吹き替えができたり、アニメキャラクターやマスコットキャラクターの海外進出のハードルを下げたり、などが考えられます。
音声機能付きSNS
コエステの機能が導入されたSNSを妄想してみます。
この(妄想)SNSに登録する際には、コエステで作成した自分のコエが必要。
利用者は、自分のコエが再生されるメッセージ(テキスト+音声)を投稿することができる。
投稿の際は、コエの感情を設定する。楽しかったことを共有する場合は、「喜び」のパラメータを上げ、不満を投稿する場合は、「怒り」のパラメータを上げるなど。AIを使うと、メッセージの内容を自動で判別し、それに合った感情が設定される。
タイムラインには、フォローした人だけが表示され、上から順に自動で再生することができる。また、フォローした人をお気に入り登録しておくと、新着の通知が届く。その通知からも音声を再生できる。
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